雑談

2017年4月 6日 (木)

PCの時計が1時間進む問題が完全に解決した

前回の続き。 PCの時計が1時間進んでいる問題ですが、 私のPCに関しては問題は完全に解決しました。 わーい。

  • 前回のあらすじ
  • 現状の確認
  • PCメーカーのサポートに問い合わせた→解決
  • 考察など
  • まとめ

前回のあらすじ

  • 自分のPCの時計が1時間進んでいた
  • 原因はPCのファームウェアの設定のせいと確信(thanks to 「「PCの時計が1時間ずれている」の原因 」)。 要するに、四半世紀前ならともかく、現在においてはまったく意味のない"Daylight Savings Enable"がなぜか有効になっているPCがあるということですね。
  • 突如、Microsoftが「修正した」とのニュースが→「えっ?」

現状の確認

Microsoftが修正したとのニュースに「ほんまかいな」と思いつつ、 1日ほど様子を見てました。 しかし、修正は落ちてきませんし、 ツールで覗くとReal-Time Clockの"Daylight Savings Enable"のビットは立ったままです。

念のため、以下の手順で実験をしてみました。

  1. PCのLANから切り離す。WiFiも無効にする(タイムサーバーとの同期を防ぐため)。
  2. Windows上で現在時刻を2017年4月3日午前1:55にセットする。
  3. PC電源を電源を切り、10分放置する。
  4. (10分後に)電源を入れる。
  5. Windows上で時刻を見る。

この結果、時刻は午前2:05頃になっているはずですが、実際には午前3:05頃になっていました。 "Daylight Savings Enable"の仕様通り、午前2時がスキップされています。

(あれ、4月2日だったっけな。 手元に残したメモには4月3日ってあるけど、 "Daylight Savings Enable"の仕様を厳密に解釈すると4月2日が正しいような気がする。 でも、もう直ってしまったので再現させて検証できない… まあ、午前2時がすっ飛ぶ現象が起きたのは確か。)

つまり、時計がずれる問題は直っていない。

PCメーカーのサポートに問い合わせた→解決

ここで意を決して、 PCメーカー(富士通)のサポートに問い合わせを投げました。 問題のPCは富士通 LIFEBOOK WA3/Wです。 これが昨日の夜。

で、今日返事がきました。

(意訳)BIOSアップデートしなはれ。

あー、確かに。 サポートに問い合わせる前に確認するべきでした。 最近、ドライバもほとんどWindows Updateで更新されるので忘れてたよ。

で、サポートページでBIOSを探すと新しいものがありました。 Readmeを見ると、ちゃんと載っているじゃないですか。

■ 5.改版履歴(修正項目)

...略...

(1.20)

  • パソコンの安定性を改善しました。
  • ごく稀に、4月と10月にパソコン内蔵の時計が1時間ずれることがある問題を修正しました。

わーい。 さすがFMVサポート。 こんなくそ面倒くさい問い合わせ分かってもらえるんだろうかと思って、 こんなツイートしてたんですけど、

えらそうなこと言ってほんますいませんでした。

BIOSアップデート後、"Daylight Savings Enable"はちゃんとDisableになっているし、 上記実験をしたら、ちゃんと再起動後の時間が午前2:05になってました。

直った。

考察など

Microsoftが修正したってのは何?

何でしょうねえ… どこかにコミュニケーションミスがあったのかも。 英語サイトを色々検索したんだけど、「修正した」ってニュースは他に無さげだし。 「PCの時計が1時間ずれている」の原因 を書いた人は、 その続編(「PCの時計が1時間ずれている」の原因の解説)で Microsoftのタイムサーバーのマシンでこの現象が発生したんじゃないか、と言ってます。 うーん。 でも、そうだとすると、Windowsの時刻の同期間隔はデフォルトで一週間と聞いているので、 「影響を受けたPCの時計は、日本時間4日未明までに自動で直っているという。」(「PCの時計が1時間ずれる」グローバルで発生「修正した」とMS)なんて言えないんじゃないかな。 よくわからない。

どうして今回だけ騒ぎになった?

これも分からない。 ただ、検索してみると、過去にも時間がずれたという声はあるし、 私も、前に時間がずれて「あれー」と思いながら直したことをぼんやり思い出したし、 実は以前から結構発生してたのではなかろうか。 今回、声が目立ってニュースにも取り上げられたということかも。

あと、最近広く採用されたBIOSにそういう設定のものがあったのかも知れない。

メーカーはもっと広く知らせるべきでは

と思うんだけど、 BIOSアップデートだとするとあんまり安易に勧められないしなあ。 Windows Updateでなんとかならんのだろうか。 ボードのファームウェアとなるとWindows Updateレベルでは難しいのかな。

結局、PC側の原因で問題が発生するのはどういう場合?

  • RTCの"Daylight Savings Enable"がEnableで、
  • RTCがずれるタイミングでPCが動いておらず(停止 or スリープ)、
  • その後PCを起動した場合(電源投入 or スリープ解除)

は確実に起こるかな。 OSがRTCと同期するとずれた時刻がOSに伝わる。

PCが稼働中にRTCがずれた場合はよくわからない。 OSがRTCに書き込む機会があるかどうかに依存するでしょう。

Windowsだけの問題?

いや、違うと思う。 ボード上のRTCがずれるんだから、 ずれた後に起動すれば例えばLinuxでも時間がずれるでしょう。

ただ、Linuxとかの場合、 どういうタイミング・方法でntpサーバーと同期しているのか知らないので、 その影響はよくわからない。 Windowsより短い期間で同期しているマシンが多いような気がする。 知らんけど。

まとめ

PCの時計がずれて直っていない人は、 PCメーカーからBIOSの更新が出ていないか確認してはどうでしょうか。

ただ、 BIOSアップデートは無条件にお勧めできるものでもないので、 アップデートするかどうかは注意事項をよく読んでからお決めください。

2017年3月26日 (日)

Windows Mobileしんでしまうん?

最近、 Windows 10 Mobileを採用していたスマホが、 新モデルではAndroidに鞍替えしていた、 ということが立て続けに2件ありました。

で、「やっぱりねー」みたいな雰囲気を感じるので、 私の見るところなど書こうと思います。 状況は厳しいけど、まだ終わる状況じゃないと思ってます。 ただ、結果的に「空白期間」が生じてしまっているので、 もっとうまく立ち回れないもんですかねえ、 というような話。

なお、これは私がニュース等を見てて個人的に思ったことを書いています。 勤務先はスマートフォンに関連している部署もありますが、 私はそことはほとんど関係ないし(というか関係あったら勝手なこと書けない)。

話は2016年始めの頃から。

2016年始めの時点

あれは2016年の始めだったか。 「Microsoftはスマホを諦めている。はやくそれを公式に認めるべき」みたいな記事が海外で出てました(ちょっと検索してみたけど、探し出せなかった)。 まあ、苦戦しているのは確かだけど、 現在進行形で戦略遂行中で、 次の施策もまだある状況で「諦めてる」と決めつけるのはひどいなあ、と思った憶えがあります。

この頃、 前の年にリリースしたWindows 10をやっとこさでスマホにもロールアウトしたところでした。 これにより、 PCもスマホもその他デバイスも、 Windows系デバイスは「Windows 10」というプラットフォームで統一され、 同じプログラミングモデル(UWP)アプリを書けるようになりました。

で、次の施策は以下だと見られていました。

  • アプリの拡充支援
  • Surface Phone

アプリの拡充支援策としては、例えばAndroidやiOS向けアプリを簡単に向けに移植する「ブリッジ」を提供しようとしていました。 が、結果としてはあまりうまくいっているように見えません。 「Windows Bridge for Android」はキャンセルされました。 「Windows Bridge for iOS」(現在v0.2)は開発が続いていますが、「使った!」という話をまだあまり聞きません。 まあ、アプリ拡充は今となってはWindows 10 MobileだけでなくUWP全体の問題になるので、 この点についてはWindows 10 Mobileの動向がどうあろうともMicrosoftは頑張ってくれるでしょう。

一方、Surface Phoneは、公式にはMicrosoftは発表していません(開発していることは認めているんだっけ?)。 この時点では、PCにおけるSurfaceのように、 新しいコンセプトを提案するようなモデルになると期待されていました。 いや、まあ、今でもそれは同じなんですけど、 登場時期が当初予想されていたより大幅に遅れており、 遅れた結果、もっと切実な問題が起こっていると思います。 これについては次の項で。

2016年夏-秋

2016年夏、MicrosoftはLumiaを作っている元Nokia部門をリストラしました。 また、Lumiaブランドのデバイスの販売を2016年末で終わらせてしまいました。 これは結構衝撃だった。 日本ではLumiaを販売していませんが、 世界的には出荷されているWindows Phone/Windows 10 Mobile機の大多数はLumiaであり、 その「大多数」の供給が無くなるわけだから。

私は、本来この時期にSurface Phoneを出す予定だったのではないかと思っています。 ここでLumiaからSurfaceへのブランド切り替えをする予定だった。 ところが、Surface Phoneが大きく遅れた一方、 Lumiaは次の計画が無いのでラインを継続させておくわけにもいかず、予定通り終了。 おかげで、Windows 10 Mobileは主流となる機種が不在になってしまった。

なぜSurface Phoneが遅れたかは、外部からは知りようがないです。 ただ、以前にわりと信じられていた噂には、 Surface PhoneはIntelのCPUを採用している、というものがありました。 そのため、2016年春のIntelのモバイル向けSoCからの撤退決断はSurface Phoneを直撃し、計画変更を余儀なくされるのでは、 と見る向きもありました。 そう言われてみれば、 冒頭のAndroidに鞍替えした件に関連して、 「今年のSnapDragon 600番台はMicrosoftのWindows 10 Mobileのサポート対象から外れていた」という証言があり、 素人目には「Intelを主力CPUにしようとしてリソースつぎ込み、一方SnapDragonのサポートは絞ってて、あてが外れたんじゃないのかよ」とか疑ったりもするのです。 知らんけど。

で、(再企画したかもしれない)Surface Phoneは(早くとも)2017年秋になるといわれています。 2017年秋といえば、Windows 10のRedstone 3のタイミングです。 Redstone 3といえば、 大きめのアップデートと言われており、 Redstone 2 and Redstone 3 are going to be heavily focused on "innovation around mobile phones."といわれるやつでもあり(ただし、この記事ではSurface Phoneは2017年4月リリースになっている)、 ARM版Windowsの復活であり、 x86エミュレーターが載るわけであり、 このあたりが次のキモだと思うのです。 Surface Phoneにx86エミュレーターが載るかどうかはわからんけど。 素のWindows 10にARM版が復活することで、 よりPC/タブレットとの差が無くなっていく方向に進んでいくんじゃないかな。 ひょっとすると、その先は「Mobile」カテゴリは無くなって、 「Windows 10」でスマホもカバーすることになるかも知れない。

今後の見込み

というわけで、まだ次の計画があるんだから、「諦めた」状況ではないだろう、と思っています。 つい最近もWindows Mobileのプログラムマネージャーの求人しているし

とりあえず、Surface Phone待ちかなあ。 私的には、もうSurface Phoneは「新しいコンセプトを提案してくれるデバイス」ではなく、 「Microsoftがスマホにコミットしていることを宣言するデバイス」として期待を一身に集めております。 本家が主力ブランド(Lumia)を止めて次をどうするか明らかにしていない現状では、 周りもコミットできないでしょう。 でも今年の秋だから、まだ遠い。

何にせよ、 今後の計画の説明なしにLumiaを販売停止すると、「撤退だ!」と思う人もいるでしょうし、 シェアが小さい状況でこんな空白期間ができてしまったらただでさえ心もとないエコシステムが消えてしまいそうで気が気ではありません。 もしSurface Phoneがずるずると伸びると、空白期間はさらに広がっていくことになります。 なんかもうちょっとうまくメッセージとか出せないもんでしょうか。 Microsoftがデバイス出せない状況なのだからパートナー頼みなのに、 パートナーさんに「梯子を外された」とか感じさせてはあかんだろう、と思うのです。 本当にたのんます。

Windows 10 Mobileに将来性はある?

まあ、現状苦しいのは確かだけど、 ぼちぼちスマホ市場の状況も変わりつつあり、 まったく目が無いわけではないと思ってます。

iOSとか、そろそろMacとの関係をどうするんだということが問題になってくるんじゃないかな。 新しいモノを世に出す際には、その目的のために鋭く割り切ったようなモノでなければ認知されることはないでしょうが、 いったんブレイクして色々な人が使い始めると、色々な要求に対応せざるを得なくなり、どんどん肥大化していきます。 iPod/iPhoneはその目的を実現するために後にiOSとなるシステムを作ってそれを活用したわけですが、 iPhoneがブレイクして成長した結果、いいかげんiOSも巨大になっているように見えます。 一方、少なくとも先進国ではスマホが飽和しつつあるようです。 成長が鈍ってくると、iOSとOS Xが「二重投資」に見えてきてきつくなるんじゃないかな。

で、iOSに限らず、 PC的なものとスマホやその他デバイスと、少なくともOSは統合しようぜ、 という流れが出てくるんじゃないかと思っています。 となると、Windows 10で各種デバイスのコード統合が済んでいるWindowsは、システム的には一周回って半歩先んじている状況にならないかな。

まあ、それでもアプリ不足をなんとかする必要はあるし、 優位点が生きる状況にするにはマーケティングが必要だし、 そもそも続けていなければ優位点もへったくれもありませんが。

まとめ

使い続けたいので、なんとか存続してください。 まあ、IS12Tの後、4年放置されたのに比べるとまだ何てことないけど(強がり)。

あと、MADOSMA信じてます。

2017年3月 7日 (火)

OAナガシマのおっさんの話(Visual Studio 20周年記念)

Visual Studioは今年で20周年だそうで、 #MyVSStory などというハッシュタグもできていました。

おおっと思ったので、こんなことを書きました。

で、OAナガシマのおっさんのことをちょっと思い出したので、書き残しておこうかなと思います。 実はそんなによく知らないし、 人柄を表すようなエピソードとかも無いんだけど、 大昔、おっさんを店頭で見かけていた頃の話。

OAナガシマとは

私が沼津に来たのは90年代始めの頃です。 地元の人に「沼津のパソコンショップならここ」と教えてもらったのがOAナガシマでした。 「OAナガシマ」という店名からして、 OA事務機器屋が出自なのでしょう。 (そういえば、当時DOS/V雑誌に怪しげな広告を載せていた「大西ジム」も高砂の商店街の文房具屋(ジム = 事務)でした。何回か行ったことある。今検索したら、まだ元気でやっているらしい)

その頃の店は沢田のバイパス沿いにあり、まあ、いわゆるDOS/Vショップでした。 世界的には、ちょうどPC/AT互換機上でWindowsがブレイクした頃です。 日本ではNECやら富士通やら東芝やらが独自規格のパソコンを出しており、 それらは結局PC/AT互換(いわゆる「DOS/V機」)になっていくのですが、 その時点ではDOS/Vはまだ立ち上がりかけの頃でした。 Windowsが盛り上がっており、海外で面白そうな機器やソフトが出るのに、 日本は独自規格のせいでなかなか利用できない。 Windows 3.1とか、USで発売されてから国内発売されるまで1年以上かかったなあ。 各社版の対応に手間取っている、とかの噂でした(本当かどうかは知らない)。 「鎖国状態」とか言われたりしてましたね。今ならガラパゴスか。 お好きな方はPC/AT互換機を個人輸入したりしてましたが、 そういう「DOS/V」世界の窓口がDOS/Vショップでした。 秋葉原ならたくさん店もあるんでしょうが、 地方なもんで、 近所にOAナガシマがあるのはとてもありがたかった。

なんか、DR-DOS買ったこととか思い出した。 冷やかしのつもりで店番してたおっさんに声をかけたら、 勢いに乗せられて気づいたら買ってて、 しばらくDR-DOS使ってたよ。

さて、時は1992年

Windowsはまだ16-bitの3.xの時代。 ちょうどアメリカでVisual Basic 1.0(これがまたちょっとした衝撃だった)が出た翌年。 私は「某言語でVisual Basicみたいのを作ろう」というプロジェクトに配属されました。 当時のWindows開発環境は、コマンドラインベースのMicrosoft C 6.0 + Windows SDK。 デバッガ(Code View)はこんな感じ。 (Microsoftのフォーラムの質問にCode Viewの画面イメージがあったので引用)

Code Viewの画面

せっかくWindowsがGUIを導入したのに、開発環境はキャラクタベースです。 ついでに言うと、会社支給のパソコンはFMRという独自規格。 それに富士通が出しているFMR用のDOSとWindowsとWindows SDKを入れて頑張るわけです。 (ちなみに、富士通の「DOS/V機」であるFMVは翌年秋の発売でした)

そんな中、 このプロジェクトが調査用に購入していたソフトウェアの中にQuick C for Windowsがあって、 これを動かしてみて私は衝撃を受けました。 フルGUIだし、「統合」されていて、ビルドからデバッグまでその上ですべてできる。 Windowsが普及し始めたころで、当時はWebとかもまだ広がってないためググるわけにもいかず、 Petzold本とかを頼りにプログラムを書いて色々挙動を確認するんですが、 この「ちょっと書いて動かしてデバッガで状況を見る」ということがGUI上で一目瞭然にストレスなくがんがん回せる。 生産性、という言葉では気が済まない、なにかパラダイムシフトのようなものが頭の中で起こりました。 目から鱗。

巧みな操作で計算機リソースを効率的に使う、 というのがスマートだと思っていました(まわりの達人的な人はほとんど共用ワークステーションとかにぶら下がってたし)。 しかし、考えたらこれは「パーソナル」なコンピュータなので、 CPUを自分の都合のためにぶん回すのは大正義である、 いや、自分が仕事を遂行するためにぶんぶんぶん回すべきである。 能天気にカーソルキー押しっぱなしてスクロールするのはCPUを無駄に使う頭悪そうなやり方だけど、 それで簡単に目的の場所に行けるならいいじゃないか。 「パーソナル」用機械を好きに使ってさっさと仕事しろよ、ということに思い至ったのでした。

人によってはVisual Basicが目から鱗だったりするようですが、 私はQuick C for Windowsだったなあ(いやまあ、Visual Basicも凄かったけど)。

ということで、 同じく調査用に海外から購入してたGateway 2000のマシン(鉄の筐体、純白の4DX2-66V)を占有し、 DOS/VとWindowsを入れ、Quick Cでごりごりプログラムを書いていました。

そんなこんなしているうちに

アメリカでVisual C++ 1.0が出ました。 「むっちゃ欲しい」と思うわけです。 IDEも進化しているみたいだし、CもC++になっているし。 でも日本では発売していない。

で、とある日曜日にOAナガシマに行ったら、 なんということでしょう。 置いてあるんですね。 でかい箱がでーんと置いてある。 おっさん、どこからモノを引っ張ってきたんだと思いました。 しかも、US価格から想定した値段よりかなり安い。 バッタもんじゃなかろうかとも疑ってまじまじと見てみましたが、どう見ても本物。 結局買いました。 両手でないと持てない大きさで、重かった。 開けてみると、中にはみっしりとWindows APIのマニュアルが入ってた。

当時の写真を探したら、箱が写っているものが一枚ありました。 あまりに部屋が乱雑で全景を出すのはアレなので、一部切り出しますが、箱の奥行をお察しください。

Visual C++の箱

探してみたら、フロッピーディスクまだありましたよ。

Visual C++のインストールフロッピーディスク

安かった理由は謎です。 仕入れ経路で誰か何か間違えてたか。 実はアップグレード版か何かだったりして。

ともかく、 Visual C++というアイテムを手に入れた私は絶好調でぶいぶいいわせながら開発したのでした。 当時まだ私物ソフトの使用禁止とかルール化される前でしたね。 まあ、仕上げには会社設備のMSCでコンパイルするようにはしてたけど。

その後

Visual C++はVisual Basicと統合されてVisual Studioになりました。

一方、 OAナガシマの方は、どんどん店が増えていきました。 本店は沢田から今ある大諏訪に移り、 ZOAという名前で静岡県以外にも店を出すようになりました。 今の正式な社名は「株式会社ZOA」のようですね。 その頃にはもうおっさんを店頭で見ることはなくなりました。 そういえば、Windows 2000の発表時には、 マイクロソフトの発表資料に他のメーカーやショップに並んで、 おっさんのコメントが載っていたなあ。 今検索して探し出したプレスリリースには社名しか出ていないけど、 当時のリリースではこのコメントがおっさんの名前入りで出てて、Webニュース経由で見てのけぞった記憶がある。

そして、一、二年前、 店の営業時間を確認するためにOAナガシマのサイトを見に行って、 間違って「会社概要」を開いてしまったら、 代表者の名前がおっさんじゃなくなっていました。 引退したのかな、とも思ったのですが、 気になったのでIRを見てみたら、 2013年の夏におっさんが亡くなったとの知らせが出ていました。

昔の沢田の店も、 去年更地になり、 ポルシェの店になりました。

その頃(もう四半世紀前)からすると、 PCをめぐる状況も、 OSやソフトや開発環境のあり方もずいぶん変わりました。 一方、その頃作っていたそのソフトは、 幸運にも気に入ってくれた人が結構おり、 バージョンを重ね、 まだ稼働しているものもあります。 ソフトウェアが世に出るのはいろんな人の仕事やら偶然やらが積み重なった結果なのですが、 あのソフトには「おっさんがVisual C++をどっかから引っ張ってきてくれた」という要素も入っているのです。

ということで、 おっさんのご冥福をお祈りします。 と同時に、Visual Studio 20周年おめでとうございます。

2016年12月 8日 (木)

Microsoft Cognitive Servicesがうらやましいのでパチもんを作ってみた

Fujitsu Advent Calendar 2016の8日目です。 なお、このエントリは個人の立場で書いております。

ディープラーニング関連の話を書こうと思います。 とはいえ、あまり技術的なものではないです。 技術的にすごい話は11日目のsakaiakiraさんや、 他の方が書くでしょう。 ここでは、ディープラーニングを勉強していて湧き上がる心の叫びのようなものを取り上げ、 その勢いでとあるサービスを特に意味なく実装することを試みます。

思うこと

要約すると、だいたい以下になるんですけど、

  • MicrosoftのCognitive Servicesがうらやましいという妬み
  • 自分がろくなデータを持っていないという悲憤

念のため。 これは私個人の話です。 富士通としてはディープラーニングをばりばりやっているところがあるはず。

今、多くのソフトウェア開発者がそうだと思いますが、 私もディープラーニングをぼちぼち勉強したりしております。 私としては、 ディープラーニングそのものももちろん興味深いのですが、 それをプラットフォームにしたり、 サービスにしたりといった方面により興味を持っています。

そういう意味で、 各クラウドの機械学習サービスだとか、 Microsoft Cognitive Servicesだとか、 GoogleのCloud Vision APIだとかを「いいなー」と見ています。

特に、 Microsoft Cognitive Servicesいいですね。 このCognitive Servicesには色々なサービスが含まれています。 LUIS(Language Understanding Intelligent Service)とかも重要そうですが、 私のお気に入りはEmotion APIです。 ディープラーニングの面白さがシンプルに出ていると思う。

Emotion APIは、 画像を送りつけると、 その中から人間の顔を検出し、 どういう感情を持っているかを推測します。 こんな感じ。

Emotion APIの画面

この例では、 お子さんの顔を検出して、 "happiness"とか"anger"とか8種類の観点での「確率」を計算しています。 この値はこの裏で動いている学習済みモデルの計算結果であり、 正確には確率とは言えないと思うんだけど、 全部足すと1になるように調整されているようなので、 確率っぽい数字になっています。 ここでは「確率」と言っちゃいます。 この例では"surprise"成分90%ですね。

Emotion API本体はJSONを返すWeb APIですが、 以下のWebページでAPIの動きを試すことができます(上の図はこのページ)。

Emotion API (Microsoft Cognitive Services)

Emotion APIは今年春先のBuildイベントで発表されました。 その際に私は「ほほう」と思ったもんで、 いろんな画像を突っ込んでみてブログを書きました。

Microsoft Cognitive ServicesのEmotion APIを使ってみた (使って色々思いを馳せた編) (2016年4月2日)

でですね、 こういうのを提供できるっていうのは、 大量に自前データを持っているからだと思うのです。 Microsoftも色々言われながら、 Bingやめなかったのが生きてますね。 API化するなら、自前データだよなあ(「自前って何」と考えると意外と難しいけど)。

ひるがえって自分なのですが、 いろいろお勉強して、 いっちょやってみよー、 と周りを見回すと、 ろくなデータがないのです。 今まで生きてきて私は何をしていたのだろうかと思ってしまいます。 ディープラーニング学習させるには、 従来とは桁違いの量のデータが必要だと思います。 かろうじて量があるのはテキストベースのデータなのですが、 自然言語は一筋縄ではいかないしなあ。 今の業務上も、あんまり処理するよによさげなデータが出てこない。

そこを工夫してデータを探し出したり、 公開情報をあさったり、 データを持っている誰かのところに出向いたり、 なんとか考えるんだ、というのは分かります。 分かります。 が、個人的にブログでぶっちゃけるぐらいはいいだろう。 「きちんとラベル付けられた大量で自前のかっこいいデータがほしい!(なるべく汎用API化できそうなやつ)」

ということで

以上で言いたいことは大体尽くしているのですが、 それだけではなんですので、 この思いをコードに託し、 Emotion APIの如きサービスを立ち上げてみました。

このサービスは、 顔の画像を送りつけると、 いくつかの観点それぞれに該当する「確率」を返します。 Emotion APIが"happiness"とか"anger"の「確率」を返すのと同様です。 その分類の数はEmotion APIの8分類をはるかに凌駕する10分類です。

では、そのサービスを試してみましょう。 Web APIももちろん用意していますが、 とっつきやすいWeb GUIもあります。 操作はEmotion APIの画面と一緒です。 先程のEmotion APIのお子さんの画像を入れてみると、こんな感じ。 スタイルが本物に比べるとしょぼいけど、気にしない。

Digit APIの画面

はい。 このサービスでは、 顔がどの数字(0-9)に一番似ているかを判定します。 顔の領域の検出機能は残念ながらありません。 というか、入力画像が顔であるかどうかも実は気にしていません。

お察しの通り、 このサービスはディープラーニングにおける"Hello World"たるMNISTをそのまま動かしています。 0-9の手書き数字を認識させるというやつですね。 手書き数字を識別するために訓練されたモデルに 何の関係もない画像を無慈悲に流し込むという鬼畜のごとき所業です。 CNNの無駄遣い。 しかも、 MNISTの入力に合わせるため、 入力画像は問答無用に28 x 28のグレースケールにリサイズします。

要するに、 学習すべきいけてるデータを持たないので、 思い余ってMNISTをそのままAPIにしてみました。 サービスのURLは以下です。

Ipponshimeji Cognitive Services - Digit API

【2017年1月17日追記】 このサービスの稼働は年末で終了させました。

モデルの学習は、 Microsoft Cognitive Toolkit (CNTK)を使っています。 以下のサンプルの03_OneConvDropout.cntkをほぼそのまま実行しています。

CNTK/Examples/Image/GettingStarted/ (GitHub)

ただし、最後の出力だけ変えています。 目的がクラス分けではないので、各ノードの値をSoftmaxを通して「確率」が出力となるようにしています。 この変更も含め、 サービスのソースもGitHubに置いています

CNTKの評価ライブラリの利用については、 はまったところもあるので、 覚えていればまたブログに書きたい。

注意事項など

このサービスはアドベントカレンダーの期間中くらいは動かすつもりです。 Azure Web AppsのB1インスタンス1個(1コア)で弱々と動かしています。 スケールさせるような余裕はありません。 まあ、そんなことはないと思いますが、アクセスする酔狂な人が大量にきたらパンクするかもしれない。

また、判定した画像は保存していません。 ローカルマシンのファイルをアップロードして判定させた場合でも、 そのファイルは保存しません。 メモリ上だけで処理しています。 ただ、「全体でリクエストがいくつあったか」「判定結果」だけはログを取ります。 どの数字に似た画像が多いのかはちょっと興味あるし。

あと、再度念押しですが、このサービスは個人的に勉強がてら作って試しているものです。

おわりに

このサービスの実用性はまったく無いんですけど、 せっかく作ったので、 「誰の顔が一番数字の4に近いか」勝負とか、 忘年会の余興にでもご活用ください。

何人かの写真をぱしゃぱしゃ撮って、 スコアを出して順位をつけるスマホアプリとか作ってくれてもええんやで。

2016年12月 2日 (金)

子供に持たせるスマホとしてWindows 10 Mobileは結構いいですよという話

Windows 10 Mobile / Windows Phone Advent Calendar 2016の2日目です。

Windows 10 Mobileは子供に持たせるスマホとしてもいいですよ、という話を書こうと思います。

ここでの「子供」は小学・中学生くらい。 その子らに「なにかあったらこれで連絡しろ」と持たせるようなやつですね。 うちの場合、中1と小6の子供に、WPJ40-10(セール価格で6980円)にLINEモバイルのLINEフリープラン(データのみ 500円/月)のSIMを入れて持たせています。 計2台を運用。 このあたりの経緯は過去に書きました。

なぜWindows 10 Mobileかと言うと、ぶっちゃけ私がWindows 10 Mobile推しだからです。 とはいえ、 子供に持たせる端末として真面目に考えた場合、 iOSほど高価じゃない端末が選べるとか、Androidよりフリーダムじゃないとかの利点があります。 が、ここでは、それら利点の中でも、Microsoft アカウントを通したペアレンタルコントロールがしっかりしているという点を中心に書こうと思います。

ざっと、以下のような内容かな。

  • Windows 10 Mobileでのペアレンタルコントロール機能
  • iOS/Androidとの比較
  • 三カ月ほど使ってみて

まず、ペアレンタルコントロールとは

ペアレンタルコントロールとは、 子供のデバイスやPCアカウントなどに対して保護者が機能制限をかけることができるようにする機能です。 例えば、以下のようなことができたりします。

  • 年齢制限のあるコンテンツや有害コンテンツへのアクセス制限
  • 特定のアプリの利用制限
  • 課金の管理
  • 子供のデバイスの現在地を探す
  • 利用状況のレポート

Windows 10 Mobileでのペアレンタルコントロールの便利なところ

Windows 10 Mobileデバイスが便利なのは、 ペアレンタルコントロールの設定がWeb側で管理されていることです。 今時できて当然のように聞こえますが、 後述するように、 iOSもAndroidも(少なくとも現時点では)できていません。

そのおかげで、 子供のデバイスが手元になくとも管理作業ができます。 例えば、 禁止サイト中にどうしても見たいページがある場合、 子供はアクセス許可リクエストを保護者に送ることができます。

「アクセス許可をリクエストする」画面

この画面のボタンを押すと、 保護者にリクエストメールが飛びます。 保護者はメール中の「許可」ボタンまたは「無視」ボタンを押してリクエストに応えることができます。 保護者は子供のデバイスに触る必要はありません。 外出中であってもネットに接続できているならば対処可能です。 もちろん、メールを受け取る保護者のデバイスがWindowsである必要もありません。

ペアレンタルコントロールの設定方法

このペアレンタルコントロール設定は、Microsoftアカウントの「ファミリー」設定の一部になっています。 自分の「ファミリー」に子供のMicrosoftアカウントを「子供」として登録すると、 その子供アカウントに対してペアレンタルコントロールをかけることができるようになります。 ちなみに、「ファミリー」に「おとな」としてアカウントを追加すると、ファミリーに保護者が追加されたことになります。

Microsoftアカウントの「ファミリー」設定ページには、 Microsoftアカウントのホームにサインインすることでアクセスすることもできますし、 Windows 10にMicrosoftアカウントでサインインしている場合は「設定」-「アカウント」-「家族とその他のユーザー」の「オンラインで家族の設定を管理」リンクから飛ぶこともできます。

「ファミリー」画面

このページで、対象となる子供アカウントの各リンクから各種コントロール項目を設定できます。

ここでの設定は、Windows 10 Mobileデバイスだけでなく、Windows 10 PCも対象になります。 つまり、 この子供アカウントでのWindowsデバイス上での活動全体をここで集中的にコントロールできます。 上の図で子供アカウントに「2デバイス」と出ているのは、 うちではWindows 10 Mobileに加え、家の共用PCもこの子供アカウントで利用しているからです。

Microsoftアカウントの「ファミリー」の説明は以下でしょうか。

ただ、USの話をそのまま翻訳したんじゃないかという内容もあります。 以下は明らかにUS限定だよなあ。 こんな課金された覚えないし。

ペアレンタルコントロールの例

「ファミリー」の設定を通して、具体的には以下のようなことができます。

  • 最近のアクティビティ(活動状況)の確認
  • アクティビティのレポートを週ごとに保護者へメール
  • 適用するコンテンツ年齢制限の設定
  • 特定のWebサイトアクセスの許可・不許可
  • 特定のアプリ・ゲーム実行の許可・不許可
  • 1日あたりの時間制限と使用許可時間帯の設定(PCへのサインインにのみ適用)
  • ストアからの購入できるものの制限
  • 子供アカウントへの入金(ストアで利用するための小遣いみたいな感じ)
  • 子供のデバイスの位置情報の表示

例えば、子供のデバイスの位置情報を表示する「地図で[名前]を検索」はこんな感じ。

「お子様を探す」機能

奴は今沼津駅。

iOS/Androidとの比較

iOSもAndroidもペアレンタルコントロールをWeb側で集中管理できるようにはなっていないようです。

iOSの場合、デバイスのペアレンタルコントロール(iOSでは「機能制限」という名前になっています)はデバイスごとに行います。 「機能制限」用のパスコードを知っている人(例えば保護者)が機能制限を設定できる仕組みです。 つまり、機能制限を設定・変更するには、そのデバイスが手元になければなりません。

一方、Apple IDには「ファミリー共有」という機能があり、 家族のデバイスの居場所を探したり、メンバーのiTunesでの購入を制限したりできます。 しかし、iOSデバイスのペアレンタルコントロールとは連携していないようです。

Androidには、OSレベルでのペアレンタルコントロール機能は見当たりません。 強いて言えば、マルチユーザー機能を使って制限付きプロファイルで子供に使わせるのかな。 タブレットではそうできると説明にあるけど、スマホでそれができるのかよく分からない。 ただ、Google Playにはペアレンタルコントロール機能があるようです。 デバイスごとにペアレンタルコントロール管理者用のPINを設定し、 そのPINを知っている人が制限を設定・変更できます。 デバイスごと設定するという点はiOSと同様ですが、 対象がデバイスではなく、Google Playに限定されているわけです。 また、Google Playにも「ファミリーグループ」がありますが、 Google Playでの購入と共有にしか影響しないようです。

Windowsの場合、 上で説明したように、Web側でペアレンタルコントロールを集中管理するようになっています。 これは便利である反面、Microsoftアカウントの利用が必須となってしまいます。 Windows PCもWindows 7世代まではデバイスごとに設定する方式でした。 ローカルIDのままWindows 10に移行したい人にとっては不都合かもしれません。

また、どのデバイスの場合でも、キャリアが提供するサービスや、 セキュリティソフトなどが提供するペアレンタルコントロール機能を利用する方法も考えられます。 が、PCはともかく、スマホの場合、 こういう機能はOSレベルで面倒見てもらう方が筋がいいんじゃないかなあ。

三カ月ほど使ってみて

子供達に色々設定したWindows 10 Mobileを渡して三カ月ほど経ちました。 気に入ってもらえているようです。 まあ、自分のデバイスが持てたというのが大きいんだろうけど。 見ていると、連絡がとれて、Webを見れて、カメラとマップと多少のSNSアプリがあればたいてい事足りているようです。 そういえば、画面が小さいので、縦持ちだとtwitterの公式アプリの「ツイート」ボタンが画面外に出てしまうという問題があったな。 これが高校生とかになるとiPhoneとか欲しがったりするわけですが(高校生の上の子はiPhone使っています)。

ところで、うちの娘は順調に腐りつつあります。 レポートの閲覧履歴とか、なにかやば気な気配が漂うわけです。 レポートには検索ワードも含まれているのですが、 見てはいけないような気がして大丈夫だろうかと思うのです。 検索ワードとかも見られる可能性があることをそれとなく伝えるべきだろうかと迷うのですが、 まあこれも一種のリテラシーなので、 なにかに感づくまであえて黙っていようかなと思っています。

一方、息子は、お母さんの目がないとひたすらYouTubeでゲーム実況を見ています。 あまりに見過ぎるので、YouTubeを一定時間見続けたら「ゴルァ」とメッセージが送られ保護者にも通知が飛ぶ仮想おかんサービスとか作れないかなあと思いました。 が、どうも「ファミリー」はAPIを公開していないようです。 コミュニティにもAPIについて質問している人がいました。

Is there a Family Safety API?

2014年時点で「公開APIないよ」という回答で、 今年また「あれから2年たったけど、どう?」と聞かれて「ない」とそっけなく答えられているので、 望み薄ですかねえ。 何かが一定の値を越えると呼び出されるWebHookみたいなの登録できたらすごく楽なんだけど。 結局、息子には対しては手動で対処しております。

ともかく、このような用途だとWindows 10 Mobileは本当にぴったりだと思うし、 万が一、高校生ぐらいになってもWindows 10 Mobileを使い続けようという気になってくれた時のためにも、 ぜひWindows Mobileには存続していただきたいと思います。

また、今は私(と妻)が子供を見守っている立場ですが、 あと30年もすれば私ももうよぼよぼで「ファミリー」で見守られる方になるかと思います。 「おじいちゃんが散歩と称して出たまま帰ってこない!」「『おじいちゃんを探す』で探せ!」とか、 「アクティビティレポートで見たけど、おじいちゃんそのアニメ昨日見たでしょう?」「ボケてるんやない!好き好んで繰り返し見とるんじゃあ!」みたいな 未来を目指してソフトウェアを開発しつつ生き延びていく所存ですので、 その時まで「ファミリー」も進化していってほしいと思います。

ということで

Windows 10 Mobile / Windows Phone Advent Calendar 2016の2日目でした。 3日目はChiiAyanoさんです。というか、1日目もそうだったから、折り返し?

2016年9月12日 (月)

子供らのWindows 10 Mobileの話(高まるLINE圧力編)

先日の「子供らの「つなぎ携帯」をWindows 10 Mobileにしてみた話」のつづき。

子供らは手に入れたスマホを熱心にいじっています。 まあ、しばらくの間はねえ。 「勝手にゲーム入れるなよ」と言っておいたのですが、 下の息子はそれならばと、 ブラウザで昔懐かしいCookie Clickerを始めました。 今日もひたすらクッキーを増やしております。

さて、 LINEをどうするかという問題が懸案として残っていました。 特に娘は部活のメンバーがLINEを使っているし、 妻が日常的にLINEを使っていることもあって、 「LINE入れろ」圧力が家庭内で高まっております。

問題点は、 データ通信しか契約していない回線でどうやってLINEの初期認証を行うかでした。 多少じたばたやってみたので、その覚え書きのようなもの。

  • LINEのFacebook認証はWindowsでは使えない
  • MVNOではLINEの年齢認証ができないらしい
  • LINEモバイルとな?

LINEのFacebook認証はWindowsでは使えない

電話番号なしでLINE登録といえば、Facebook認証。 しかし、色々試したのですが、 結局WindowsではFacebook認証は利用できないようです。

※Facebook認証は、iOS⋅Androidのみ利用可能です。
SMSが使えず、Facebookによる認証も行えない場合、LINEに登録することはできません。

LINEのヘルプ - Windows Phoneから「SMSが使えない場合はどうしたらいいですか? 」

だそうです。

もう面倒くさくなって、 娘のWindows 10 MobileにLINEアプリを入れ、 家の固定電話の電話番号と関連付けてしまいました。

でも、 うちには他に余っている電話番号がないから、 息子がLINEやりたいといい始めたらもう使える番号がない。

MVNOではLINEの年齢認証ができないことがある

年齢認証はキャリアの契約情報を見ているようで、 MVNOのSIMでは年齢認証できないことがあるようです。 年齢認証できないと、ID検索等の一部サービスが利用できません。

年齢認証は、au(KDDI)、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル各社が提供する年齢情報判定サービスを利用し、18歳未満かどうかを確認しています。
契約したSIMが上記3社で提供している年齢情報判定サービスをご利用いただけない場合、年齢認証はできません。

LINEのヘルプから「格安SIMを利用しているが、年齢認証ができない」

この書き方だと「できる場合もある」ようですが、 Webでほかの人の書いているのをざっと見た印象では、 「ふつうはできない」感じ。

まあ、うちの子らはどっちみち年齢認証できる年齢じゃないから関係ないけど。

LINEモバイルとな?

そんなこんなでやっていると、 タイミングよくLINEモバイルが発表されました。

LINEモバイル

一番安いプランだと、

  • LINEの基本的な機能(LINE通話も含む)は使い放題
  • その他のデータ通信は1G/月

で、500円/月。 うちの用途だと、 コミュニケーションをLINE中心にすれば、このプランで十分まかなえるんじゃなかろうか。 子供二人分だと1000円/月で、現在の約2000円/月の半額。 まあ、データ容量は少なくなるし、おまけで運用しているわしのSurface 3の分がなくなるけど。 しかも、SMSなしでアカウント登録できるし、年齢認証にも対応。 ごちゃーごちゃやってた苦労がいらんようになるやないですか。

2週間早く発表されてたら申し込んでいたと思うけど、 もう事務手数料払ってDMM mobileと契約しちゃったからなあ。 正式提供は10月1日からのようなので、 その後回線の評判がよいようならば、 乗り換えるかも。

ということで、 家族グループ内でスタンプが飛び交っております。

2016年9月 4日 (日)

子供らの「つなぎ携帯」をWindows 10 Mobileにしてみた話

下の子供二人に当面持たせる携帯をWindows 10 Mobileにしたという話。

経緯

うちには子供が三人います。 一番上(高校生)はiPhoneを使っています。 高校に入学する時に本人の希望を元に話し合い、 三年間使い続けるという条件でiPhone 6を持たせました。

その上の子には、 高校入学前、 おでかけなどの際の連絡用に単純機能のガラケーを持たせていました。 それは今「おさがり」として下の子ら(中1と小6)が使っています。

で、MVNOが普及してきた昨今、 このガラケーの維持費が機能のわりに割高に思えてきました。 基本料が月1700円くらいで、 帰省やらおでかけやらで実際に通話したりすると3000円越えたりしています。 一方、 例えばDMM mobileのSIM 3枚で月8Gを共有するシェアコース(データ通信のみ)は月額2138円(税込)です。 同じくらいの料金で子供二人分のスマホと私のSurface 3の回線が維持できるではないですか。

ということで、 下の子二人が自分で選んだスマホをもつようになるまでの「つなぎ携帯」として、 シンプルで安価なスマホを買い、データ通信のみで運用してみることにしました。

機種選定

目的から当然SIMフリーの廉価版スマホになります。

まず、iPhoneはこの用途には高価すぎる。

Androidも我が家では印象がよくありません。 うちのNexusに子供らが怪しげなゲームを入れまくって動作をおかしくさせたという過去が脳裏をよぎります。 また、「廉価版Android機」という字面を見るだけでもう怪しさ爆発します。偏見だけど。

ということで、 Windows 10 Mobileにします。 Windows 10 Mobileでペアレンタルコントロールを効かせたスマホを持たせるようにしましょう。 Windows 10 Mobileで不安な点といえば、

  • アプリが少ない
  • (個人的には頑張ってほしいけど)将来性が見えない

ですが、必要最小限のアプリはありますし、怪しげなアプリが少ないのはこの用途の場合むしろありがたい。 また、どうせ本格的にスマホを持つようになる頃には本人が選び直すだろうから、 向こう三年くらい使うことができれば十分でしょう。

ちょうど、NTT-X StoreのセールでWPJ40-10が安くなっていたので、それにします。 6980円(送料無料)。 白と黒のモデルがあるので、それぞれ一つ。

WPJ40-10

geaneeのWPJ40-10のページから

それぞれ三色のリアカバーがついているので、 好きな色を選ばせることにしましょう。

SIMは上で述べたDMM mobileのデータSIM 3枚のシェアコースにします。月8Gで1980円。

セットアップ

まず、起動して初期設定をした後、 「システムの更新」をかけて最新のWindows 10 Anniversary Updateへアップデートします。

設定中

そして、各自のMicrosoftアカウントと紐づけ。 うちでは、共有の「リビングPC」に各自のMicrosoftアカウントでサインインするような使い方をしていますので、 子供らもMicrosoftアカウントを持っており、 私のペアレンタルコントロールの管理下にあります。 ですので、それを登録するだけで、 メール、カレンダー、OneDrive、OneNote等は関連付け出来ます。 あと、カメラやらMapやら天気やら標準アプリの初期設定。

次にSlack。 うちは家族間の連絡にSlackを使っています(「家族間の連絡手段をLINEからSlackにしてみた話」参照)。 そういえば、 Slackがわりと受け入れられたので、 Wunderlistも導入してみたのですが、 こちらはほとんど使ってもらえていません。 もう一工夫いりそう。 まあ、これは別の話。

さらに音声通話。 データSIMを入れることにしたので、電話番号による携帯回線での通話ができません。 こちらはSkypeを使います。 「インターネット電話」的なものは他にもありますが、 スリープ状態でも着信を取ってくれるものだとやはりネイティブアプリで、 ネイティブアプリをWindows 10 Mobileにも提供してくれているものとなると、 やはりSkypeかなあと。 Microsoftアカウントで使えるのも便利だし。 ということで、 Skypeを入れ、 家族間のSkype網を整備。

後のアプリは必要に応じて入れていくようにしましょう。

最後にクラウド側。 各自のOutlook連絡先を整理。 ペアレンタルコントロールの設定をチェックし、 「お子様のデバイスの位置情報を表示」をオンに。 PCでMicrosoftアカウントを使っているので、 OneDrive等の共有設定は既にできています。

で、セットアップ完了して、 子供らにスマホを渡しました。 下の息子がスマホいつ貰えるんだとしょっちゅう聞くので、 妻が閉口してました。 リアカバーは娘がピンク(彼女のDSとおそろい)、 息子がブルーをご選択。

リアカバー

よかった点

まず、 安く携帯を持たせるという目的を達することができました。

費用(消費税込み)
対象金額備考
初期費用スマホ本体13,9602台
DMM mobile 契約事務手数料3,240
micro SDHCカード2,16032G * 2
運営費/月DMM mobile 回線料金2,1388G共有

スマホ本体の動きも上々です。 CPUがSnapdragon 210でメモリー1GというロースペックはAndroidならばまともに動くような気がしませんが、 Windows 10 Mobileならサクサク動き、実用上まったく問題ありません。 バッテリーも十分持ちます。 このあたり、Windows 10 Mobileの仕上がりの良さを実感します。

事前に見た実機レビューでは、 液晶パネルが弱いというのを読んでました。 まあ、Retinaディスプレイのようなものとは比べようもありませんが、 十分きれいです。 ただ、視野角は確かに狭い。 数人で覗き込むような場合は見ずらいかも。 あと、パネルは指の滑りが悪いので、 保護シートは必須。

Microsoftアカウントがそのまま使うことができ、 PC環境と連携できたことも便利でした。 娘が試しにブラウザでpixvを見ようとして、 ブラウザが検索履歴とか覚えている(PCの履歴と同期している)ことに感心していました。 GoogleでもAppleでも自社モノの設定の同期できると思うけど、 PCと連続性があるのがうちの場合うれしい。

Microsoftアカウントのペアレンタルコントロールの「お子様を探す」も使ってみました。 息子が習い事に行っている時に「探して」みると、 マップ上、鉄道路線上を移動して、 駅で乗り換えている様子が見て取れました。 奴がくそまじめな顔で電車で運ばれているかと思うと、なんかじわじわくる。 まあ、四六時中監視するつもりはありませんが、 いざというとき場所が分かるのは便利。

課題

LINE問題。 部活のメンバー間の連絡とか、 習い事の先生との連絡とか、 今時LINEだそうですよ。 私は複数デバイスやPCとの並行利用がLINEではやりにくいので家族内の連絡にSlackを導入したんだけど、 周りがLINEなのでLINEは必須だと言われてしまいました。 LINEアプリ自体はWindows 10 Mobileにも提供されています。 しかし、問題はLINEアカウントを取得する際の初期認証です。 初期認証に電話回線を通した実在確認(SMSまたは通話)があります。 現状、完全データ通信の契約なので、SMSもできません。 SMS付きだと一回線あたり150円/月アップです。 LINEアカウントにはfacebook認証という方法もあるらしいと聞いたので、 もう少し調べて、どうしようもなければSMSオプションを考えますかね。

電話番号問題。 データ通信契約なので、契約回線で直接通話することができません。 代わりにSkypeを使う計画なわけですが、 Skypeで「電話番号」へ発信するには別途料金が必要です。 まあ、必要な際に実費を払えばよいわけですが。 そもそも、音声通話の主な目的は家族内連絡なので、 電話番号発信はほとんど機会がないはずです。 むしろ問題はSkypeからの発信だと受け側に「発信者不明」と出てしまうことかな。

一方、受信側。 外部から子供らのスマホへ「電話番号」で電話をかけることができません。 これに関しては、ほとんど必要ないんじゃないかな。 LINEを使うようになれば、友達とかとはLINEとLINE通話を使うんじゃあなかろうか。 別途料金を払えば、Skypeで050番号を取れますが、 それなら回線を音声通話付きに切り替えた方が無難そうだなあ(一回線あたり700円/月アップ)。

で、まあ、多少できないことはあるけど、 当面の利用ではSkypeで十分だと思います。 ただ一点、 この方針だと緊急通報(110や119)できない、 というのはちょっと気になります。 うーん。

しばらく運用してみて、 あかんと思ったら音声通話付きに回線を切り替えますかねえ。

そういえば、 息子が習い事の先生にスマホを自慢したら、 「電話番号教えてよ」と言われて「うーん、よくわかんない⤵」みたいな会話がいきなりあったらしい。

まとめ

思惑通り、 わりと低予算でガラケー1台をスマホ2台(+わしのSurface 3の回線)に置き換えることができました。

子供らにも気に入ってもらえたようです。 ガラケーと違って、大きめの画面でインターネットにダイレクトにつながるのは新鮮らしい。 ぼちぼち使いながら、 リテラシーなど身に着けていってほしいと思います。

なお、これにより、家庭内の携帯プラットフォームにおいてWindowsがトップシェアとなりました。 元々、2014年度まではWindowsがトップシェア(ただし同率)でしたが、 近年iOSに押されていました。 しかし、今回のガラケー置き換えにより、再びトップシェアに返り咲いたのでした。

我が家のスマホシェア

この調子で、グローバルでもWindows Mobileが存続可能になるように頑張ってほしいです。 いや本当に、今回のようにiOSでもAndroidでもはまらないニーズがあると思うんで。

シアトルの宇和島屋とわたくし

この夏、八幡浜へ帰省して(「帰省メモ:宇和海と八幡浜のこと」)、 ちょっと思い出したことがあったので書き留めてみます。 シアトルにある宇和島屋というスーパーの話。 大した話じゃないけど。

2000年代、開発していたソフトウェアの関係で、私はしばしばMicrosoft本社に出張に行ってました。 Microsoft本社はシアトル郊外のレッドモンドにあります。 最初の出張は確か直前に同時多発テロが発生し、 会社の渡航中止命令が出てキャンセルになった覚えがあるから、 あれはその翌年だったかなあ。 初めてMicrosoftキャンパスに行き、 近くに取ったホテルの周りを散歩していたら、 交差点の角にUwajimaya(宇和島屋)というスーパーがありました。 宇和島といえば私の生まれた八幡浜の南にある町で、 私の原点である「急行うわじま」の名前の由来の町です。

何やこれは、と思って入ってみたところ、 まあ普通のスーパーでした。 醤油とかお菓子とかで日本物の品ぞろえがありました。 あと、小さな日本グッズコーナーがあったような気がする。

ホテルへ帰った後、WebでUwajimayaのページを見てみました。 本店はシアトルにあり、私が行ったのはベルビュー店のようです。 会社の歴史を見てみると、 予期した通り日系の人が開いた店でしたが、 その創業者(森口富士松)は八幡浜生まれの人でした。

The Whole Story (Uwajimaya)

単身レッドモンドにやってきて、 「あんたらの言うてることと実際の動きが違うやんけー」とかカタコト英語でやりとりして、 きっついなーとか思いながら歩いていて出くわしたものが同じ町生まれの人が異郷に開いた店で、 「縁やのう」と思ったのでした。 まあ、それだけの話なんですけどね。

八幡浜は今でこそ過疎化が進む地方都市ですが、 商業が盛んだった時期があるようです。 思い出してみれば、 祖父母の世代には結構ハイカラな人が多かったような。 城下町だった大洲や宇和島と比べて、 八幡浜はもともと漁港だったせいか、 さばけて外向きな気風があったように思います。

祖父の姉もシアトルに移住していました。 戦中、収容所に入れられて戦後日本に引き上げてきました。 この人もハイカラな人でしたが、 収容所の話は一切しなかったといいます。 上記の宇和島屋の歴史にも収容所のことがさらりと書かれてますね。 色々歴史あり。

最初のレッドモンド出張後、 しばらくして宇和島屋の創業者の奥さん(Sadakoさん)が亡くなったという知らせを何かで見かけました。 上記の歴史によればこれは2002年夏とのことなので、 やはりあれは2002年前半かな。 八幡浜世代が生きている間にその土地に行ったのかと思い、 ちょっとした感慨をもった覚えがあります。 いや、まったく面識とかないのですが。

これを書くにあたってちょっと検索してみたら、 今は日本語のWikipediaにも項目ができていました。 これを読むと、結構有名なのか。

宇和島屋 (Wikipedia)

あと、私が行ったベルビュー店は移転したのかな。 今検索したら、ベルビュー店はベルビューのダウンタウン近くになっているけど、 私が行ったときはMicrosoftキャンパスの少し南にあった。

2016年8月30日 (火)

帰省メモ:宇和海と八幡浜のこと

前回(「帰省メモ:伊予灘のこと」)の続き。

伊予灘側から山を越えて宇和海側に出ると、 こちらは一転リアス式海岸です。 こんな感じで向こう岸まで泳いで渡れるような湾が延々と続きます。

宇和海

今は知りませんが、 私の子供の頃はこのリアス式の湾の中をポンポン船が行き交っていました。 曲がりくねった湾に沿って細い道をぐねぐね進むより、 船で湾を横切った方が手っ取り早い。

私の父方の祖父もポンポン船を乗り回していました。 ある時、私と弟を連れて三瓶の町に行った時の事。 町に船で乗りつけ、私たちを船に残したまま用事に出かけたら、 ロープがほどけて私たちが流されてしまったことがあります。 船の上で私らがあわてていると、 ポンポン船で同じように入ってきたおっちゃんが、 笑いながら「なんや、流されとるがか」とロープを拾って引っ張って戻してくれました。 そういう世界。

そんな地域柄のせいか、 Googleマップのこの辺り(三瓶-明浜)には、 ストリートビューに加えて「ポンポン船ビュー」があります。 このように、ストリートビューのルートが海の上にもあります。 明らかに、「Googleポンポン船」が沿岸を走っています。

ポンポン船ビュー

Google マップで愛媛県西予市三瓶町周辺のストリートビューのルート表示

先ほどの写真の場所をポンポン船ビューで海側から見れば、 こうなります

この対岸を宇和島自動車バスが走っていくのが見えるのは40年前と変わらない光景です。 このあたりのバス路線は宇和島自動車の領域です。 この「宇和島バス」ではなく「宇和島*自動車*」といかつく呼ばせる名前が子供心に響いていました。

このバス、 湾沿いのぐねぐね道を走っていきます。 今はかなり整備されてきていますが、 当時の道は細く、海側にもガードレールなどあまりありませんでした。 車の行き違いがあると、 バスはこのガードレールがない海側のぎりぎりに寄せます。 本当に信じられないくらいぎりぎりに寄せます。 車窓から覗き込んでも、 下に道路の端が見えていません。 目の下そのまま海です。 これが子供の頃、本当に恐ろしかった。 三瓶から八幡浜までの海回り約一時間は恐怖の区間だった。

「宇和島自動車」といういかつい響きと、 この恐怖体験のため、 宇和島自動車バスは私の中ではとても強面の存在です。

今の宇和島自動車の路線図を見ると、 今はもう、八幡浜から三瓶までの完全な海回り路線はなく、 トンネル経由での八幡浜-周木路線、海回りは八幡浜から穴井止まりの路線に分割されていますね。 リアス式は、山側をトンネルでぶち抜いてしまえば、 湾の奥の町から町へは比較的簡単に行けるようになります。

余談ですが、 世の中には宇和島自動車のファンの方のページもあるようです。 (2005年から更新されていないようですが)

宇和島自動車ファン

このページを見ていて思い出しました。 昔の宇和島自動車バスの行先表示って、 毛筆体で書かれていました。 こんな感じ。

昔の宇和島自動車バス

宇和島自動車ファン」の「懐かしい写真」から

強面です。

さて、八幡浜。 私の生まれた町です。 八幡浜に来るのは六年ぶりです。 そのときは母方の祖母の葬式に慌ただしく来て帰っただけなので、 まともに滞在するのは十年ぶりくらいですか。 色々変わっています。

まず、 フェリー乗り場の横に小綺麗な道の駅ができていました。 で、道の駅と魚市場をつなげ、 魚市場から道の駅に店を出しています。 道の駅からは向かいの権現山のてっぺんまで続くみかん畑の眺めがよい。

道の駅から権現山

重要な動線であるフェリー乗り場の横にこれを作ったのは、 なるほどなあ、と思いました。 逆に駅周辺は少し寂しくなったかな。 ショッパーズ(旧ダイエー、その前はイズミだったっけ?)は更地になってたし。

港周辺は他にも色々できています。 ショッピングモール(フジグラン北浜)ができているし(おかげで24時間駐車可だった北浜駐車場がショッピングモールの駐車場になっていて、車の置き場所に困った)、 モール泉なるもの掘り当てて、温泉施設がちょうど数日前にオープンしているし。 市立病院も建てかえているようだし。 しばらく来なかった間、 ばあちゃんも亡くなって八幡浜の家も空き家になってしまったし、 自分の中では過疎の最終段階のように思ってしまっていたけど、 いろいろ動きがあるし、子供も結構いるし、 色々がんばっていることが分かってうれしかったです。 家は空き家になっているのに、 どんどん便利になってるよ。 その空き家に泊まって、 例の温泉にも入ってきました。 触れ込み通り、本当に黒っぽい湯でした。

ところで、 魚市場でうちわえびを見かけました。 この写真のカブトガニみたいなやつ。

うちわえび

これ、 シンプルに塩ゆでにしたら最高にうまいんだけど、 うちは私と次女しかエビを食べないし、 スケジュール的に持ち帰り難しかったから諦めた。 でもやっぱり、クール宅急便で沼津まで送ってもらえばよかったかなあ。

まあ、おとなしく、 削りかまぼこ(ごはんにかけるとうまい)と吉見菓子舗のしぐれようかんを買って帰ってきました。

なんか八幡浜はちゃんぽん推しらしいのだが、 子供の頃は別にちゃんぽんやってなかったよなあ。 最近?

そういえば、南予博やってたんだっけ?

おまけとして写真二つ。 八幡浜市街の港と、 郊外の海岸(真網代のあたりだったっけな)から佐田岬方面の眺め。

港

佐田岬方面

2016年8月25日 (木)

帰省メモ:伊予灘のこと

盆休みに妻子を連れて愛媛県八幡浜市に墓参帰省しました。 せっかくですので、色々懐かしかったことなど書き残しておこうと思います。 まずは、伊予灘のこと。

今、車で松山から八幡浜へ行くには、 内陸を走って、 内子-大洲-夜昼トンネルがメインルートとなるでしょう。 が、私のお気に入りは、 伊予灘にそって長浜-瞽女ヶ峠バイパスを通るルートです。

伊予市を出て、 予讃線の旧線沿いに三秋信号所跡の峠を越えて伊予灘に出ると、 そこから磯崎まで、のたりとした伊予灘が延々と続きます。 こんな感じ。

伊予灘

私はこの伊予灘のとぼけた風情が好きです。 途中の下灘駅は青春18きっぷのポスターになったりしてますね。 そういえば、 下灘駅を通り過ぎる際に、 ちょうどJR四国の観光列車の「伊予灘ものがたり」が駅に停まっていました。 この列車もいつか乗ってみたい。

伊予灘ものがたり

海沿いに走っていると、 そのうち沖に青島が見えてきます。 最近では猫の島として有名です。 私の母親が一時期ここの小学校の先生をしていたそうです。 もう半世紀前の話です。 小学校はとっくに廃校になっています。 (車の窓にティッシュの箱が映り込んでいるのは気にしない)

青島

今でこそ海沿いに二車線のきれいな道ができていますが、 これは海岸を少し埋め立てて造ったもので、 予讃線のすぐ脇が海でした。 串駅の先の川とか、河口が大きく山側に入り込んでいて、 汽車が海の上の橋を渡るような感じだったなあ。

そういえば、この「串」という駅名、 子供の頃めっちゃかっこええと思っていました。 しかもこの駅、 短いプラットホームが無造作にあるだけの無人駅です。 こういうあまりにしょぼい無人駅はこの辺りにいくつかありますが、 こいつらは駅名表示板でも一人前扱いされていませんでした。 例えば、下灘駅の駅名看板は今でこそこうなっていますが、

下灘駅

Wikipedia 下灘駅より

国鉄時代は次の駅が「きたなだ」でその下に括弧書きで「(くし)」と書かれてました。 正規の駅と見なされていなかった。 そういうところもたまらなかった。 高野川とか西大洲とかもそんな扱いだったはず。 市坪もそうだったっけな。

長浜は、 国鉄時代、伊予市から大洲までの間での唯一の急行停車駅でした。 今は青島への港であることと、肱川あらしが有名でしょうか。 むかし、竜宮城を模した風情の水族館があり、 行ったことがあります。 売店で海ほうずきを50円で買った覚えがある。 調べてみたら昭和60年に閉館していました。 今は長浜高校がなんやら活動しているらしい。

ながこう水族館は、 大洲の竜宮城!

(そういえば、長浜は今は大洲市なのか)

長浜から先は肱川を遡って大洲へ向かう予讃線(旧線)と別れて、 さらに海沿いを進みます。 そのうち遠くに伊方原発が見えてきます。 この写真だとちょっとわからないか。 遠く霞んでいるあたりにあるはず。 この日、 ちょうど原発再稼働の日だったらしく、 色々騒いでいたらしい。

櫛生あたり

このあたり、 青っぽい岩がよくあります。 こんな感じ。

青い岩

こういった岩は中央構造線沿いに分布しており、 きれいなやつは「伊予の青石」として庭石にしたりします。

で、喜木津の手前から瞽女トンネルに入り、 宇和海側へ抜けます。 この瞽女トンネルができる前、 瞽女ヶ峠を越えるのが大変でした。 なので、八幡浜へは大洲経由がメインルートだったのでしょうが、 このトンネルができてから、 時間的にはそんなに大きく変わらないんじゃないかな。

私が子供の頃、 四国の国鉄線はすべて非電化で、 急行がメインの長距離列車でした。 予讃線の特急は「しおかぜ」が日に3往復だけだった。 で、松山を越えて宇和島方面へ行く急行といえば、 急行「うわじま」でした。 国鉄色のキハ58系ですよ。 わたしのtwitterアイコンはこの「うわじま」のヘッドマークです。 (ちなみに、このアイコン、写真ではなく、ペイントブラシで描いた図形です。 十年ほど前に何の気なしに描いてみたら意外とそれらしくできたので、そのまま使っています)

当時、 予讃線はまだ内子経由のルートができておらず、 この海沿いの旧線が本線でした。 足場が悪いせいか、 この旧線を「うわじま」は時速40-50キロくらいでとろとろと走ります。 伊予市から次の停車駅の長浜まで、30分かかっていました。 これ、「うわじま」全線で最長区間じゃないかな。 さらにその後、長浜から大洲まで25分くらいかかります。 子供の頃は、帰省のたびにこの区間が死ぬほど長く感じていました。

ところが、 今となってはこの風景が原体験のように刷り込まれており、 急行「うわじま」がリバイバル運転された際の前面展望DVDなど買い込んでいて、 なんか気分が落ち込んで調子が悪いときに虚ろな目でだらだらと見ていたりするのです。

PC303 リバイバル急行「うわじま」(DVD2巻組作品)

子供の頃はこの30分が苦行だったのに、 今はそれを好んで延々見ているわけですよ。

久しぶりにそのルートを走って、懐かしかったです。

週末元気があれば、 宇和海側のことも書きたい。